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12 郎徳上寨 护寨樹
12月4日、午後、报德へ闘牛を見に行く前に、午前中は郎徳上寨を散歩した。

私の泊っている農家旅館から少し下流へ行ったところに小さな花橋があって、そこから村のほうを臨むと村の後方にオレンジ色に色づいた巨木が見える。


9月にこの村に来た時は山は全山緑で気がつかなかったが、あの木が村を守る「护寨树(ふぅざいすぅ)」ではないか、とその木をめざして村を登る。


苗族は村を守護してくれる神の宿る木として「楓香木(ふぉんしぁんむぅ)(カエデの類)」を护寨树としている。


苗族の村には、松や杉や楠などの巨木があるのに、何故楓香木がご神木に選ばれるんだろう、と不思議に思っていたが、亜熱帯の常緑の木で被われる山の中で、秋には色づき、冬に葉を落とし、春にはまた芽をふき、夏に葉を茂らせる、という輪廻する木であることが、生命の輪廻を信じる苗族の人々にとっては、楓香木がその象徴として、ご先祖様が宿る木としてこの木をご神木としているのだろう、と思い当たった。


この日、宿の老板娘が殺猪した豚の肉を保存するために燻製にしていた。


そして、郎徳上寨の村を散策していると、あちこちで燻製造りをしている姿が見られた。


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