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10 紀堂・登江
10月18日、お葬式を埋葬まで見学してから昼飯にしようと泊っている旅館へ戻ると、おばさん達が蜂の巣から蜂の子を取り出していた。


ここのメニューで一番高いのがこの蜂の子で、一皿85RMB。

せっかくだからと、食べてみることにした。

日本では佃煮を何匹か食べたことがあるが、ここでは炒った蜂の子がお皿いっぱいに盛られてでてきた。

香ばしく、ほんのりと甘みがありけっこう美味しい。

西紅柿蛋湯(しぃほんすぅたんたん)というトマトと卵のスープ(12RMB)も頼んでご飯を食べる。


一休みしてから13時ごろ肇兴 の西南2kmほどの山の中にある「紀堂」へ登った。

紀堂は、海抜670m、約380戸、1600人の村。

舗装道路から山道の旧道を登り、1時間ほどで村へ着いた。

村の入口には大きな寨門がある。


寨門には、龍の飾りが付く。


寨門からもう少し登った村の入口に「萨温(さぁうぇん)」という大祖母「萨玛(さぁまぁ)」に次ぐ二祖母を祀る小さな廟があった。


内には、萨玛殿と同じように、半開きの傘と円形の石台。



村は、下寨と上寨に分かれていて、下寨に一座の鼓楼、上寨に二座の鼓楼がある。

まずは、下寨の鼓楼。

高さ22m、11層からなり、第1,2層は四角形で3層以上は8角形。


鼓楼の正面にある龍の飾りは、「二龍戯珠」または、「双龍搶宝」というそうだ。


上寨の鼓楼は、一座は、9層、高さ18m。向こうに見えるもう一座は、5層、12m。


下寨の鼓楼の近くに、大祖母「萨玛」を祀る廟がある。


内には、四角に土が盛られ、中央に半開きの傘が立つ。


民家の軒先に、「水路平安福」の札が掲げられていた。


萨玛祠を小さくしたようなお墓。


屋根の飾りは、「壺」。


田圃では手作業で発酵牛糞肥料を入れている。


村のおばさま。


紀堂をさらに登ったところに「登江」という村があり、紀堂との村境に土地神が祀られている。

 

そこからもう少し堂江側に行ったところには「五龍堂(うぅろんたん)」という「檐公(やんこん)」を祀る廟もある。


建物は覆屋になっていて、内に1889年に建てられたという古い廟がある。


中央の像は、「大聖浦公」、向かって右が「檐公」、左が「招元師」。


願い事が叶ったんだろうか、「感謝」の赤い布が奉納されている。


「楊震」という豪傑の壁画もある。


大きな「木鼓」も吊るされている。


外にある旗竿の先端には、「尾長鳥」が付いていて、檐公のトーテムだろうか。


堂江には鼓楼は一つ。


村のはずれの小高いところに「萨玛壇」がある。

ここでは旧暦の毎月一日と十五日に祀りの儀式をおこなっているそうだ。

 

肇兴へ戻る時に、紀堂を過ぎて、道を間違えてしまって山を下っていくと、また土地神を祀る祠に行き当たる。

 

紀堂へ来る時はこの祠には行き当たっていないので道を間違えたことがわかり、また紀堂の村へ戻り、尾根の逆側へ降りる道を行くと来たときくぐった寨門に行き当たってほっとした。

そして肇兴を望むところまで来ると、村が西日にあたって輝いていた。


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