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02 岜沙

2日目の13日、唯一鉄砲の携帯が許可されていることで有名な苗族の村「岜沙」へ行った。

岜沙は从江から約8km、バイクタクシーに乗って約15分(15RMB)。
从江の南西の山の頂上に位置する。

 

村はもち米の収穫で干された黄金色の稲穂が美しい。

長米やうるち米は稲を刈ってすぐ田圃で脱穀の作業をして、後で莚に拡げて乾燥させるが、もち米の場合は一旦棚に干してから脱穀するのだそうだ。


小さな子供もいっしょに家族で稲穂を干す作業をしていた。

 
 
 

こちらは夫婦で稲穂を下ろす作業。


脱穀は、脚踏み脱穀機が主流であった。

 

棚田はすべて刈り取られた後であった。


村を歩いていると、コンコンコンとあちらこちら聞こえてきて、近づくと藍染めされた綿布を石板の上に敷いて木槌でトントン叩いていた。

これは綿布に含まれる脂肪が叩くことで染み出てきて艶のある布地を作るための作業であるそうだ。


住居は、「入母屋造り」が特徴のようだ。


この村の高床式倉庫は、1階部分も倉庫になっているものが多い。

 

そこらじゅうで軒先にザルが干してあるので、なんでか、と思って歩いていると、答えが見つかり、スカートを干すためのものであった。


この村でも屋根の上に鳥(鳩?)の飾り瓦が載っていた。


三重塔の飾り瓦もあった。

塔とひし形、「祭りの原理」の吉野裕子氏流でいえば、子孫繁栄の男女交合のシンボルか?

 

玉を挟んで阿吽の獅子。


この村では、樹を祀ることでも有名で、樹葬も行われている。

 

村の東向きに開けた東を遥拝する広場に「祖母石」という大きな石が祀られている。

石に溝が掘ってあって、飛鳥の「酒船石」に似ているような気もする。

 

すぐ前の家の戸に厄除けだろうか、切り絵が貼られている。 

 

他の家でも同じような切り絵を見つけた。

 
 

戸口に見られる魔除け。

ここでは、中央によく見る「ハサミ」ではなく「スパナ」が掲げてあった。

 
 

こんな石も祀られている。


三角形で、これも吉野裕子氏流でいえば、女性のシンボルか。


村は山の東向き斜面にひろがっているが、そのはずれに草が刈り取られた古墳のようなところがあって、そこには南南東向きにお墓が一基ある。

 

その周囲は草原になっていて、藍染綿布を干す女たちが、日向ぼっこをしていた。


毛沢東が亡くなった時、樹齢数百年の楠を切って、毛沢東の偉業を記念して「樹神」として祀られている。


公衆トイレへ行った時、入口に鉄砲が立てかけられていて、そこを管理しているおじいさんが中からでてきた。
撃つところを写真に撮りたいか、というので、うなずくと、20RMBで実演する、というので撃ってもらった。

予想外の大きな音でびっくりした。

 

男たちが腰に下げる装備。


公衆トイレの近くの広場で表演の音が聞こえてきたので、走っていくと、ちょうど表演が始まった。

例によって結婚式の再現などもあったがそれはカットして、樹木に拝するところから。


男は、少年から成人すると髪の毛を剃ってチョンマゲを結う。
野仕事の鎌で髪を剃るので、その切れ味に感心した。


少年は剃ってはいないが、髷はある。

 

表演を見てから、夕方の16時ぐらいまで村の中を歩き回った。


藍染。

 

各家に必需品のつぶし石碓。


舟型の餅つき臼。


泉の洗濯場。


木と竹で組んだ柵。
紐を使っていないので感心した。


帰りは、誰かがバイクタクシーでやってくるのを待つことになり、30分ばかり待って、从江へ戻った。