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立春 初候 「東風凍を解く(とうふうこおりをとく)」

立春は、初めて春の兆しが現れてくるころ。

その初候、「東風凍を解く」は、 暖かい春風が吹いて、川や湖の氷が溶けだすころ。

旧暦の七十二候では、この季節から新年が始まる。

中国では、所によって、旧正月の春節を祝うように、爆竹・花火を盛大に鳴らして祝うところもある。

新暦では、2月4~8日ごろ。

●2013年2月4日記

先日、中日新聞一面の本の広告に「日本の七十二候を楽しむ」というのがあって、面白そうだと早速本屋へ行って買ってきた。

この本は「立春、東風解凍」から始まっていて、「とうふうこおりをとく」と振り仮名をしてあるが、東風は「こち」「はるかぜ」とも読むそうで、これは中国の五行思想の「東南西北」が「春夏秋冬」に対応しているところからきている。
今日2月4日(2013年)は立春。
これを機に、旧暦を楽しむことにした。

「旬の野菜」の項に「蕗の薹(ふきのとう)」について記されていて、そういえばずんぶん前にお袋が、うち(この時はまだ名古屋の実家に住んでいた)の庭で採れたものだよ、と蕗の薹のてんぷらを食べさせてくれたのを思い出し、夏、蕗の葉が茂るところを見に行くと、10cmほどの蕗の薹を見つけることができた。

写真は昨日2月3日に撮ったもの。

「蕗みそ」の作り方が出ていたので、早速一つ摘み取って作ってみた。

蕗の薹を三分ほどゆでてすり潰し、白味噌をベースに、砂糖と味醂を少々加えてできあがり。

小さいスプーン1さじ分ぐらいしかできないが、箸の先にちょっとつけてひと嘗すると口中に蕗の香りがひろがる。
苦味もあって体によさそうな気がする。

夜までとって置いて、少し嘗めては日本酒をちびり。 いい春だ。

本山荻舟著「飲食事典」によると、

早春にまだ凍土の中から葉柄に先立って発現するフキのツボミで、なるべく開かないうちが珍重される。
俗に「麦と姑(しゅうとめ)は踏むがよい」という諺があり、フキのとうもいわゆる暖冬や雪消後の急長を中断するため、寒国ではとくに踏みつける習慣があるのに準じて、土を割るころに踏みつけるとよいのが出るとの解釈から、異名を「しゅうとめ」とも呼ばれる。
雌雄異株でオスの花は淡黄色・メスの方は白色だが、鱗状の苞(つと)に包まれている間は区別無く食用して、特殊の芳香と苦味とが好事家に喜ばれる。
「本草備要」には「心肺をうるほし、五臓を益し、煩を除き、痰を消し、咳を治す」とあって薬用を兼ね、食法は簡単でそのまま鍋料理にあしらったり、焼いて練り味噌をつけ、刻んで味噌汁の薬味にしたり、また刻んだのを焼き味噌にすり混ぜたのも風味がよく、下半分にコロモをつけてからりと揚げると、色がさえて料理のツマになり精進揚としてもすすめられる。


●2019年2月4日 記

今日は立春。

妙に暖かく、強い風が吹いて、「春一番」か、とも思われたが、ここ浜松は、南風ではなく、西風で「春一番」とは認定されなかった。

「春一番」というのは、立春を過ぎて最初に吹く強い南風で、平均風速が7~8m/s以上が目安となっている。


スーパーマーケットから帰りに、地元の魚介・野菜などを販売している「よらっせ」へまた寄ってみると、座布団のような野菜を売っていた。


直径40cmほどもあり、「タアサイ」、とある。


こういう葉っぱの状態を「ロゼット」というと思うが、こんな形で売っているのは初めて見たので早速購入(100円)。

ネット検索してみると、「旬の食材百科」というHPが見つかり、

「ターサイ(搨菜)は中国読みではターツァイと呼ばれ、中国の華中が原産と言われている中国野菜のひとつ。ハクサイ(白菜)やチンゲンサイ(青梗菜)の仲間で、チンゲンサイと同じ不結球タイプになります。地面を這うように広がるところから「押しつぶされた」といった意味の名前がついたそうです。」

「冬が旬。霜が降りると甘みがまし、美味しくなります。旬の時期は12月から2月頃となります。」

ここ静岡県は2008年のデータで、505トンの生産で、全国1位、53%を生産しているそうだ。


「よらっせ」へ寄る前に、いつも行くスーパーで、宮城県産の「真鱈」の切り身を売っていたので、鍋で食べようと購入して、「ター菜」も一緒にちょうどよかった。


ター菜は繊維が柔らかく、歯の弱い私でも噛むのに苦労は無く、独特の風味もあり、冬は愛飲している地酒の「花の舞、純米」とともに美味しくいただけた。

●2021年2月7日 記

今年は、2月4日が立春、初候は、2月3~7日(旧暦12月22~26日)。

関東では、2月4日に「春一番」が吹いたが、ここ浜松では強い北西風が吹くものの南風はまだこない。

3日は寒かったものの、徐々に暖かくなり、6・7日は春のような陽気で暖かく、家の庭の「小梅」の花も4分咲きほどになった。


小梅の花は、1月2日には2輪咲いて、その後は、けっこうな寒さが繰り返しきていたためか、数輪しか咲かなかったが、立春を過ぎて、暖かくなり、一気に花を開き始めた。

7日、イチジクの木に「ヒヨドリ」が来訪。
ちょうどカメラが横に置いてあったので、ガラス窓越しにパチリ。

 


家の近所の畑では、遠州地域の特産になっている「新玉ねぎ」が収穫真っ盛りになっている。


この「新たまねぎ」は、秋蒔きの早採りのたまねぎで、白たまねぎや黄たまねぎなど、いくつかの品種があり、毎年、1月から4月まで、早い春を告げる旬の味として知られているそうだ。

「サラダオニオン」とも呼ばれ、その名が表す通り、辛みがほとんどなく、生食にぴったりの品種。

私もいつもオニオンスライスや天ぷらのかき揚げで、おいしくいただいている。


2024年2月14日 記

今年の立春の初候は、2月4~8日。

4・5日は雨が降ったが、6日からは晴れ、8日から暖かくなる。

8日、舞阪の魚屋へ買い出しに行く。


店のお姉さんのお勧めは、「シロミルガイ」。

1個、全重量300g(殻重30g)、全長21cm(殻長9cm)。930円。

浜名湖で採れるのか聞いてみると、違う、ということで多分三河産だろう。


ぼうずコンニャク」さんによれば、和名は「ナミガイ」。

「ナミガイ(キヌマトイガイ科)が「白ミル」と呼ばれるようになったのはミルクイ(ミルガイ、バカガイ科)が減少して高価になったため。ミルクイは歩留まりが悪い上にナミガイの二倍以上もする。味は世に言われるほど大きな違いはないが、ミルクイに軍配が上がる。

基本的にすべて食べることができる。ただ食感がよく生食に向いているのは右の水管の部分。他の部分は軟らかいので煮たりソテーしたりする。水管部分の歩留まりは約10%、外套膜を含めても30%くらいしかない。」



まずは、水管の部分を、半分はサッと湯を通して(写真の左)、半分はそのまま刺身にする。

意外と柔らかくて、貝類独特の味、香りが口中にひろがり旨い。

湯を通したほうが甘味は増す。


水管だけ食べるのでは勿体ないので内臓は煮つけて食す。

特別旨いものではないが、悪くない。



この日は比較的大きな金目鯛も並んでいたので購入。

体重480g、体長33cm。1100円。


とりあえず三枚におろした半身は刺身で味わう。

期待したほど脂はのっていなかったので味はまずまず。

皮の赤が美しい。


頭とアラは煮付けで。


残りの半身の半分は煮つけたが、煮汁が勿体ないし冷凍うどんが買ってあったので、煮汁にからめて「鯛素麺」ならぬ「金目うどん」とした。

これはねらいどうり旨い。


残りの半分は味噌漬けにして、ちょっと焼きすぎたがこれもまずまず。