祭り見物 / 長野県 / 遠山の霜月祭り 木沢 |
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愛知県の奥三河で行われる「花祭り」を見に行ったとき、常連のカメラマンから、南信濃の「遠山の霜月祭りもおもしろいよ」と教えてもらい、帰宅してから早速ネット検索した。 それで、「霜月まつり」のHPを見つけ、12月に何箇所かで行われるようで、2018年12月8日、飯田市南信濃木沢の正八幡宮で行われるのに日程が合ったので見に行くことにした。 遠山の霜月祭りについては、「日本の民族 20 長野」によれば、 「赤石山脈の西麓、遠山川流域一帯の地、今の下伊奈郡南信濃村・上村、ここがふるくから遠山とよばれてきた地である。この地を江戸時代のはじめ所領としていた遠山氏は相続争いと苛政を恨んでの百姓一揆とで滅ぼされてしまった。ところが、その後、悪い病がはやったことから、これは滅ぼされた遠山さまの怨霊の祟りと恐れたひとびとは、それを鎮めるために、村の社の祭りに湯立て神楽を奉納するようになった。それが霜月祭りの起こりだという。・・・・・。いずれも神前に湯釜をすえ、神々を招き、この釜をめぐって湯立てを行う。そのあと土地の神々の面が出て釜の周囲をめぐって舞い、そのあと神送りをする基本の形は同じである」 8日早朝、車で出発して、8時半ごろ、3時間半ほどで木沢に到着。 正八幡宮の対面にある、旧木沢小学校の広い校庭が駐車場になっていて便利であった。 |
まずは参拝。 HPによれば、神社の祭神は、神殿に誉田別命(ほんだわけみこと)ほか遠山氏にちなむ八社神を含めた12柱、向かって右手の御鍬(ごくわ)大神舎に3柱、左の池大明神舎に5柱が祀られている。 |
舞殿には、土製の三口の湯釜が据えられた竈がある。 三口の竈は木沢だけだそうだ。 |
「湯のあて」の「鳥居」と「日天子月天子」の切り抜き。 |
素敵な絵馬があったので購入(2000円)。 |
小学校の校舎は、資料館になっていて、霜月祭りについての展示もあった。 |
木沢の祭りの特徴が掲示してあった。 |
ここで、祭りの最後に行われる「木の根祭り」のおこなわれるのだろう。 |
本祭りは、13時から、ということで、車に戻って一仕事。 お昼は、カップ麺とコーヒーで、12時すぎに神社に戻る。 本祭りの順序が掲示されていたので、それにしたがってみていくと、本祭りは、「大祓」、「御扉開き」、「三条の祓」から始まったようだが、私は、「ひよしの神楽」から見物することになった。 |
1.大祓 氏子総代、氏子数名、宮司、禰宜、計十名ほどが神殿に向かって正座し、禰宜の一人からお祓いを受け、次に宮司が祝詞をあげる。 2.御扉開き 宮司が神殿の扉をひらく。 3.三条の祓 舞殿のかまの前のゴザの上で、禰宜、氏子一同が「トウボーカーミ、エービータマエ、ハーライターマエ、キヨメテターマエ」を唱える。 4.ひよしの神楽 全国の神々のおいでになる道を塩で清め、神様方のおいでになる道を錦で飾っておきますから、神様方においで下さいと神楽うたを奏する。 「ひよしの神楽」は、13時ごろから始まった。 |
5.神名帳 日本中の神々を読みあげて請招する。 氏子総代が氏子を代表して神さまを呼び、お願いを申し上げるのである。 「今日の良き日、遠山八社の神が、全国の神々をお湯の上に呼び、神楽や舞を見せるので、春まく種もみのり豊かに商売繁盛するようこの里をお守りください」と奏上する。 |
6.湯立て 三人の禰宜が五大尊其の他の神々へ湯をあげる。 この湯立てはこの正八幡社および旧村内に祀られている七人の神さまが、全国や村外の神々を招待して、お湯をさしあげる神事だと伝えられている。 HPによれば、 湯立ては、「式の湯」とよばれ、七立の湯立てが繰り返される。いずれも神社や集落内にまつる神々による湯立てで、その最後を「太夫舞」で締めくくる。 七立の湯は、 八幡様の湯(先湯) 両大神の湯 一の宮二の宮の湯 おくわ様の湯 池大明神の湯 親代様の湯 小嵐様の湯 |
この湯立は14時半ごろから18時半ごろまで繰り返されるので、私は「八幡様の湯」を見てから車に戻り一休みして、またカップ麺と持参した芋焼酎を飲んで夕食として、18時ごろまた神社に戻った。 18時半ごろから「太夫舞」が始まる。 7.太夫舞 禰宜三人で舞う。 太夫舞は招待を受けた神さま自身の舞だと言われている。 |
19時半ごろから「宮浄め・八乙女・家浄め」になる。 8.宮浄め 湯たぶさで湯を上げて本殿その他を浄める。 9.八乙女 本殿の隅の小幣の前で神楽に合わせて湯を上げる。 「一宮、三社の森で打つつづみ、てんとはならで、やおとめは、はなのやおとめ、むかしはそでに、いまはたもとにこよいはここに日まち、日まち、しよろりしよろしとお祝い申す。」 10.家浄め 社寺の家を浄める 禰宜二人が社寺(祠祭禰宜)の家に行き、「この門を清むる時はヤンヤーハーハ塩あればこそ三浦の塩でヤンヤーハーハ」と浄める。 |
そして、19時40分ごろから「式の四つ舞」となる。 11.四つ舞 四人が扇と鈴、後剣と鈴で舞う。 舞は始め五方を踏み、続いてちらし舞の様式に変わり、右回りにまわって八拍子にて型のように巧みに舞い、次は鈴と刀を持って舞い終わる。 |
12.願ばたき 願がある時は以上を繰り返して行うが、なければ中止 氏子のなかで希望する者がある時だけ、この神事を行われる。(いっぱた)(十二立)などがあり、「ごりがんばたき」と呼ぶ。 祈願成就したとき行う祭事である。 多分、この日は、願ばたきはなかったようだ。 そして、20時過ぎ、「天伯の湯」となる。 13.天伯の湯 禰宜と大衆が湯木で大天伯・小天伯に湯をあげる。 天伯とは天狗のことで、村内にあって村を守り、宮を守ると信じられている。部落、部落に住んでいるその天伯さまにお湯をさしあげようというわけである。 |
14.中祓い 三条の祓いの後、神楽歌を唱える。 ここで座つけ(夜食)を済まし、三条の祓いのあと、神返しの神楽を唱える。この神楽にのって全国からお呼びした神々は元のところへお帰りになると言われている。 |
21時前、ここで、若者たちが、突然「ヨイサ、ヨイサ」と押し競饅頭のように暴れまわったあと、「ぎょうてい、ぎょうてい」とはやし立てて、飛び回る。 これは、目覚ましだろうか? |
そして21時ごろ、「襷の舞」が始まる。 15.襷の舞 襷、鉢巻の四人が二人宛組になって、鈴と扇、鈴と剣で舞う。 この舞は遠山様一族の死霊を慰めるため舞うと言われ、年季の入った舞人たちが舞う。 |
21時半ごろから「鎮めの湯」。 16.鎮めの湯 湯立と同じ、今度は面へ上げる。 身近にいる神様方にお湯をさしあげる儀式と言われている。 |
この頃になると、狭い舞殿は地元の人とカメラマンでいっぱになる。 そして22時ごろから、「面」をつけた神様が登場する。 17.面(おもて) 大天狗(火王様)が舞い終わると続いて多くの面が出る。次いで山の神様、他の四面となり、神太夫のもどき、天伯の舞で終わる。 ここに登場する神々は何れも地元の神さまたちで、このなかに遠山一族の面も出てくる。やがて霜月祭は最高潮に達し、神と人間が一緒に舞い歌い踊る。 |
まずは、「大天狗 火の王」が登場して、一の釜の前に立ち、「火伏せ湯伏せ」の呪文を唱え、九字(くじ)を切ってしずめてから、湯を素手で周囲にはねかける。 |
このあと次々に神々が登場するが、その前にまた、若者たちのひと暴れがある。 |
そして、「山の神」「天彦根命」「奥山半僧坊大権現」「猿田彦命」の四面が登場して暴れまわる。 |
ひと段落して、「両老人」の「ばあさ」がまず登場して、榊で村人の頭を叩いて祓ってまわり、遅れて、伊勢音頭にのって「じいさ」が登場。 そのあと、「大黒様音頭」にのって「大黒天」が一回りする。 |
そして「おきつね様」の登場。 |
ここで「小天狗(水の王)」の登場。 一の釜の湯を素手で跳ねかけるが、このとき宮元禰宜が背後で「火伏せ湯伏せ」の呪文を唱える。 |
最後に神社の守り神である「宮天伯」が木製の剣を持って登場。 五方を踏んでにらみ、剣を振り、剣先を水平にかまえる動作を繰り返す。 これで邪悪を切り祓う。 最後に拝殿前で釜を向き、顔で「叶(かのう)」あるいは「寿(ことぶき)」の字を宙に描いて退場する。 |
ここまでで、0時半を過ぎ、最後の「かす舞」となる。 18.かす舞 襷がけの三人の禰宜が湯飾りを切り払い竈を突いて式の終わりの宣命。 「のりと」 「まいあかつさのかみもどしにあう人は、寿命長かれ、命ひさしき、また来年もかくの如くに、神はゆけゆけ社はとどまれこの里に、またくる年も神呼び戻す。」 |
ここまで、午前1時前、このあと「木の根祭り」、「直会」があるようだが、私はこれにて車に戻り、4時間ほど眠って、帰路についた。 19.木の根祭 小豆と飯を木の根へ祭る 木の根まつりは、小豆と米を禰宜が、紙にのせて宮の外の木の根本に献じ、悪魔の神さまをおくりだす。 ● 直会 直会(なおらい)、神前で酒を酌み祭りが大団円となる。 |