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川名のシシウチ・的打ち
昨年2019年の1月4日に浜松市北区引佐町川名で夕方から行われる「ひよんどり」を見に来たが、日中は用事があって、14時ごろから、六所神社で行われる「シシウチ」と「的打ち」を見ることができなかったので、今年は、それらを見ることにした。

午前中、「滝沢のもみ飯祭り」を見物した後、川名へ向かった。

川名は、滝沢から一つ山を越えたところの村で、車で20分ほどで六所神社に到着。


六所神社は、「ひよんどり」で水垢離が行われる川名川の上流へ少し行ったところの村の南のはずれのこんもりとした森のなかに在る。

川を渡ってすぐの六所神社とは道を挟んで、「若宮三社神社」の社が在る。


祭神は、モロー様と瓊瓊杵尊。


「モロー様」は、「客人(まろうど)神」から転じたもので、他の地域から来訪した神とのこと。

社の前の石段の脇にある三角の石がご神体で、説明版がなければ見逃していたと思う。


そして向かいの森の中に、六所神社が在る。

六所神社の社の手前の磐座に「役行者」が祀られている。

 
 

そして、森の中に「六所神社」が在る。


社は森の中にひっそりと建っていて、いい雰囲気だ。


祭神の中に尾張氏ゆかりの日本武尊の妻でもある「宮簀媛(みやづひめ)」が祀られているのには驚いた。

事代主命、住吉神社の三男神(説明版には底筒男命は抜けているようだ)それに宮簀媛で海に関係する神々であるのが興味深い。


六所神社に参拝して、買っておいたコンビニおにぎりと白湯で腹ごしらえ。

14時までは時間があったので、近くを散策して過ごす。


14時ちょっと前に軽トラに神事で使われる竹や香柴で作った鹿と猪などをのせて村人たちがやってきた。

まずは、神社のはずれに女竹を交差させて立て、それに的を結わえる。


そして、社の前面に、「鹿」と「的」が置かれる。


「猪」は、社の前の石の上に置かれ、準備は完了。

禰宜様の到着を待って、14時20分ごろから神事が始まった。

まず、禰宜様が盆の上に「強飯(こわめし)」を小分けしてのせ、村人二人が「若宮三社」と「役行者」にお供えに生き、禰宜様は六所神社にお供えをする。

一同参拝にの後、禰宜様と村人が石の上に置かれた猪を「弓矢ヒョウヒョウ胡麻はサラサラ、お手にとまりてお鷹ユラユラ」と唱えながら楮(こうぞ)の弦を張った弓でそれぞれ一矢ずつ打つ。

「鹿」は、六所神社のお使いといわれていて、矢は射ない。

そして、女竹に吊るされた的のほうへ移動して、村人が二人、それぞれ一矢ずつ的の真ん中に描かれた丸の中を通すように矢を放つ。

矢が通った先は、草ぼうぼうの空き地のようだったが、田んぼであるらしい。

これは想像だが、女竹というのがみそで、その的の中央の丸に田んぼに向かって矢を通すのは、「性交のもどき」で五穀豊穣を願う神事だと思う。


的打ちが終わると、禰宜様は、弓、矢、鹿、的を社の中に納めて、強飯のお下がりを村人に分け与えて、神事は終了した。