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大寒 末候 鶏始めて乳す (にわとりはじめてにゅうす)
大寒の末候は、「鶏始めて乳す」。鶏が卵を産み始めるころ。
かつての鶏の産卵期は、春から夏にかけてだった。

24節季、72候の最終季ということで、その最終日が立春の前日になり、「節分」となる。

昔は、季節の変わり目に当たる、立春・立夏・立秋・立冬の前日がすべて節分とされていたが、室町時代から、一年の節目に当たる春の節分に重きが置かれ始めたそうだ。

季節の変わり目には、悪鬼がでてくるといわれ、「豆」が「魔滅」の音に通じることから「鬼は外、福は内」の掛け声で豆まきが行われるようになった。

数え年で自分の歳の数の豆を食べると健康になるといわれている。


●2021年2月4日記

今年の大寒の末候は、1月30日~2月2日(旧暦12月18~21日)

今年の節分は、2月3日ではなく2月2日。明治30年以来124年ぶりのことだそうだ。

立春は、太陽黄経が315度のときで、太陽年は、365日だが、実際は、365.2422日で徐々に遅れが出て、今年の立春は2月3日になり、その前日が節分で2月2日になった。

毎年2月2日と3日に、浜松市中区八幡町の浜松八幡宮で、節分行事が行われ、2日には「追儺式」、3日には「節分行事」が行われる。

「追儺(ついな)」というのは、民俗芸能辞典によれば、

「おにやらい、なやらいともいい、邪悪な疫鬼を年越しの夜に追い払う儀式で、その起源は中国の周礼にのっとっているといわれる。わが国には、6世紀陰陽道が伝えられたと同じころに入り、当時は宮廷でさかんに行われた儀礼である。中国の周礼では「方相氏という呪師が熊の皮をかぶり、黄金の四つの目玉の面をつけ、黒衣に朱の裳を着して、戈と楯を手に多数の部下をひきいて疫鬼を追い出す作法を行った」というが、その方相氏が出る追儺は、日本では京都東山吉田神社の節分会にみることができる。」

浜松八幡宮の追儺式は、吉田神社からこの行事を伝授されたそうで、同じ行事を見ることができる。

ということで、昨年2020年2月2日に、「追儺式」を見に行った。

その模様は下記をご覧ください。

nabe3.kuron.jp/hamamatu tuina.html



2024年2月8日 記

今年の大寒の末候は、1月30日~2月3日で、3日が節分。

30日から冷たい北西風が弱くなり、31日は曇り時々小雨が降ったが比較的暖かかった。

2日は冷え込んだが、3日はまた暖かくなる。

日差しは徐々に強くなり、ガラス越しの日差しで暖かい。


1月31日にまたひまわりファームで野菜を仕入れ、舞阪の魚屋へ行く。

ひまわりファームでの初物は「サヤエンドウ」。1袋、110円。



サヤエンドウは春、4月頃のイメージだが、ハウス栽培だろうか、もう出てきた。

平野雅章著「野菜記」によれば、エンドウはヨーロッパ南部、地中海沿岸地域が原産だそうで、日本には奈良時代にはエンドウ豆が伝わっていたようで、サヤエンドウは、江戸時代に入ってから伝わったそうだ。

卵とじにしてよく食べるが、今回はとりあえず天ぷらにする。

甘味が強く、美味い。

 

舞阪の魚屋では、前回来た時も並んでいたが、春の魚「サヨリ」を購入。

全長30cm。69g。7尾で1500円。


柳原敏雄著「魚介歳時記」によれば、

「サヨリは『細魚』と書き、その名のように細長くスマートな魚である。とくに下あごが細く突き出て針のようにとがっているところから『針魚』の名もある。

「寒のうちからとれはじめて、4,5月の産卵期には豊漁となり、淡水の河川にも入ってくる。このころの大きなのをカンヌキと呼んでいるが、なかなかうまいあだ名をつけたものだ。貫木(かんぬき)というのは、両開きの門を閉めた場合、横に一本差し込んでおく腕木のことである。」

「サヨリの特徴であるこの針のような下あごは、幼魚のころは目立たず、せいちょうするにしたがってのびるものらしい。またエサを求めるためにも、邪魔にこそなれ、なんの役にもたたないものだといわれている。同じ仲間であるトビウオの胸ビレがすくすくのびて、天空を行く夢が実現したのに、サヨリの下あごは、なんのためにのびたのであろうか。
お魚博士の末広さんは”サヨリの下あご”という童話を作り『上あごも下あごも短いサヨリの子が、ある日海の中を泳いでいると、カジキがその鋭い上あごで、クジラの横原に風穴をあけて倒すのをみた。またダツがその長い上下のあごを使って、ボラの子を襲うのをみた。これらの勇壮な光景を見てうらやましく、自分のあごの短いのを嘆いていると、海の悪魔が現れて、下あごをひっぱってのばしてくれた。しかしこれは悪魔の悪意に発したもので、いたずらに長くなった下あごをいまさらながら悔いている。』という興味ある筋で、不思議な魚の生態を語っている。


とりあえずは、刺身でいただく。

見た目はスッとして淡白なようだが、口入れると旨味がひろがり美味。


前掲書を読んでいたら、

「刺身は身なりに細引くので、細作りまたは糸つくりともいい・・・・。」

とあったので、翌日は細作りにしてみたが、このほうがより旨味を感じたのは気のせいだろうか。


アラは例によって味噌汁に。

内臓は小さいものだったので、味噌汁にいっしょに入れた。

これもいい出汁がでて旨い。


7尾のうち3尾は刺身で、残りの4尾は天ぷらにした。

身がしっかりしているので、口中で溶けることはないが、これも美味い。


今回、サヨリをさばいているときに、鰓に寄生虫が付いているのを見つけた。

 

グーグルの写真検索で検索すると「ダンゴムシ」になってしまい、再度「魚に寄生するダンゴムシのような寄生虫」で検索すると、「ウオノエ」と判明。

「タイノエ」とも呼ばれ、

「タイノエは別名で「鯛之福玉」とも呼ばれ、タイノエが付いた鯛は古くから当たりとされてきました。タイノエを見つけると、願い事が叶う・物に困らなくなる・見つけた人は幸せに暮らせるといった言い伝えがあります。」

とのことで、鯛ではなく、サヨリに付いたものを見つけても、「福」は来ないかもしれないが、細く永く生きられそうだ。