表紙 / 七十二候 / 芹乃栄う

小寒 初侯 芹乃栄う(せりさかう)
小寒は、寒さが極まるやや手前のころ。

寒の入りを迎え、立春になる寒の明けまでの約一か月が寒の内。

「小寒の氷、大寒に解く」という言葉があり、むしろ小寒のほうが寒いと感じるときもある。

小寒の初候「芹乃栄う」は、春の七草の「芹」がすくすくと群れ生えてくるころ。

新暦ではおおよそ1月5~9日ごろ。



●2021年1月9日 記


今年の小寒の初候「芹乃栄う」は、1月5~9日(旧暦11月22~26日)。

日本全国は大寒波が襲来して、各地に大雪を降らしているが、私の住む浜名湖のほとりでも8・9日は最低気温が氷点下になり、我が家の庭の池でも氷が張った。

氷の厚さが、8日は5mmほどだったが、今日9日の朝は10mmまで厚くなっていた。
例年、1度は氷が張り、こんと叩けば割れるほどだったが、今年の氷は厚くて簡単には割れなかった。

小さな池を3つ作ってあり、ヒメダカを飼っている池に秋から「芹」がはびこってきていたが、冬になって勢いが衰えて、今朝は氷に閉じ込められていて、「芹乃栄う」とはなっていない。

「小寒の氷、大寒に解く」のほうが、今日にはぴったりだ。

家の前に以前クルマエビの養殖をしていた2500平米ほどの池があり、今は淡水化していろいろな水鳥もやってくるが、この数日は北西風が強くて、その池の西側に白鷺や青鷺が風を避けて沢山集まってきている。



白鷺は、嘴が黄色いので「チュウサギ」のようだ。


● 2024年1月12日 記

今年の小寒の初候は、1月6~10日。

6日までポカポカと暖かったが、7日に北西風が吹き始め冷え込んだ。

7日、沖縄でクルマエビの養殖をしている友人のKさんから活のいい車エビが届いた。

全長18cm、37g。


クルマエビの味の旬は冬で、水温が下がると甘味、旨味が増す。

私が浜名湖の片隅でクルマエビの養殖をしていたころ、1996年からクルマエビに関するホームページを開いていて、「エビについてのよくある質問」「クルマエビについて」の中でエビの味について下記のように記しました。

「 たん白食品である魚介類の味は、その中に含まれるアミノ酸類によるもので、エビが強い甘みを持つのは、冬期にはグリシンというアミノ酸、夏期はベタインというアミノ酸があるからだそうです( 石井金之助「エビのすべて」)。私の経験では夏より冬の方が甘みはもっと強くなり、調理したものは 砂糖で味付けしたのではないかと思うくらいに甘くなります。」

「  クルマエビの旬について1996年7月、女子栄養大学出版部発行の「ダイジェスト版(四訂)食品分析表」に書かれてれているので紹介します。
 ----しゅんの魚のうまさは脂肪が乗っているだけではない。エキス中のアミノ酸の組成がしゅんのうまさに大いに関係するらしい。クルマエビの旬は1~3月。このころ特有の甘味を持つアミノ酸グリシンが最大量になり、5月以降の産卵期には最低、苦味の強いアミノ酸アルギニンが増加する。当然味も落ちてくる。日本人の繊細な味覚は魚のアミノ酸を味わい分けることでみがかれてきたのだろう。--------
 私の作るクルマエビも冬眠に入ったばかりの12月には肉質もしまり甘味も最高になります。(97.03.18)」

このところ思うのは、夏は生長期で短い期間で脱皮を繰り返しているので、身が水っぽくて味がうすいのではないかとも思っている。


今回は、とりあえず山葵醤油をちょっとつけて刺身(踊り)で。

身が大きいので、歯ごたえがあり、嚙みしめていると甘味がしみてくる。


2日目もまだしっかり活きていて、身が丸のままでは大きすぎて食べにくかったので、そぎ切りにして刺身で食す。


そして、定番の天ぷらを塩少々つけて。

火が通ることで甘味が増して旨い。


刺身で剥いた殻や頭は油でカリカリに揚げてエキスを浸みださせてエビ油を作り、残った殻は荒く砕いて、片栗と小麦粉と混ぜて揚げてみた。

エビ煎のようにならないかと思ったけど、かき揚げになってしまったが、桜エビのかき揚げに負けないくらいいいエビ味にできあがった。

エビ油は、昨年、海老焼売に混ぜてみたが、蒸した時に油分がすべて落ちてしまい失敗。

現在、どうしたものかと思案中。

 

今回は、沖縄料理の祝い事には欠かせないという自家製の「ジーマミー(地豆、落花生)豆腐」もいっしょに送ってくれた。


鰹出汁の効いた甘じょっぱいタレも同梱されていて、すごい弾力のプリンのような食感で旨い。

私は落花生は好きだが、歳をとって歯が弱くなり、柿の種の落花生を噛むのがつらくなってきているので、この柔らかい食べ物で落花生の味を楽しめるのはありがたい。

K君が山葵醬油で食べても旨いよ、と教えてくれたので試してみると、山葵味が効いているときは鱈の白子と間違えるほどで、山葵味が消えるとまた落花生味で、ああ白子ではなかった、と気が付く。

私の住む浜名湖の周辺も落花生の名産地なので、来年の収穫時期には作ってみようと思う。