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穀雨 初候 葭始めて生ず (あしはじめてしょうず)
穀雨とは、たくさんの穀物をうるおす春の雨が降るころのこと。

この節季の終わりには夏の始まりを告げる八十八夜が訪れる。

春の雨は、作物にとって恵みの雨で、それだけにこの時期には、様々な雨の名がある。

穀物を育む雨を「瑞雨(ずいう)」 、草木をうるおす雨を「甘雨(かんう)」、春の長雨は「春霖(しゅんりん)」、早く咲いてと花に促す「催花雨(さいかう)」、菜の花が咲くころに降る菜種梅雨、長く降りすぎてうつぎの花が腐ってしまうほどという「卯の花腐(くた)し」。


穀雨の初候は、「葭始めて生ず」。

水辺の葦が、芽を吹き始めるころ。

葦の若芽を「葦牙(あしかび)」「葦の角」「葦の錐」というそうで、若芽の先が牙のように水面に伸びている様を表していて、水温む春を表す季語だそうだ。

新暦では、およそ4月20~24日ごろ。


2021年4月24日 記

今年の穀雨の初候は、4月20~24日、旧暦の3月9~13日。

この間ずっと晴れの天気が続き、日中は暑いくらいの日もあったが、北風が吹いて若干肌寒く、朝、晩はまだまだ冷える。

20~22日は何かと忙しく、散歩へ出れなかったが、23日散歩に出ると浜名湖の縁に残っていたヒドリカモの姿が消えていた。

鴨、北へ帰ったか?

浜名湖の縁に生えている葦の新芽はずいぶん伸びていて昨年の枯れた穂と入れ替わろうとしている。


家の周囲のそこいらじゅうで、「ノイバラ(野茨)」が咲き始め、濃厚な香りを漂わせている。

別名は、「野バラ」。

赤く完熟した実は甘味があって食べることができるそうだから、実が熟する秋が楽しみだ。

散歩に出ると、道端に可憐な花を付けた野草を見つける。

植物関係は「PictureThis」ですぐに検索できるので楽しい。

まずは、水路の船着き場の岸壁にへばりついて咲いている「フランスギク」

ヨーロッパ原産の帰化植物で、花を天ぷらにしたりマリネにして食べられるそうだ。


「コマツヨイグサ(小待宵草)」がそこいらじゅうで咲き始めた。


「ユウゲショウ(夕化粧)」という可憐な花も咲き始めた。

これも、待宵草の仲間の帰化植物。

 

田んぼのあぜ道の際で、「ヘビイチゴ(蛇苺)」を見つけた。

「PictureThis」では「ヤブヘビイチゴ」と出たが、ネットで調べてみるとヤブヘビイチゴは日陰に生えて、蛇苺は日当たりの良いところの田んぼの畔などに生えるということだから、これは、ヘビイチゴだろう。

実は食べられるが、あまりおいしくないそうで、ジャムにして食べると良いそうだ。


家の庭では、薔薇が咲き始めた。

冬の間にも1・2輪咲くが、この季節は蕾も多く、本来この時期に咲くのだろう。


「ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)」も咲き始めた。

これは、ずいぶん前に、道端に咲いていたのを抜いてきて庭に植えたもので、一時期は庭中に拡がって、きれいはきれいだったが、邪魔にもなり、少し残して抜いてしまった。

それでも毎年どんどん増えるので抜くのに忙しい。

弱い毒性があるそうだから食べないほうがよさそうだ。


「ツルウメモドキ(蔓梅擬)」も地味な花を咲かせ始めた。

これは庭や周辺の藪で勝手にどんどん増えて、厄介者の一つ。


日中は暖かいので、色々な昆虫も目につくようになった。

浜名湖の縁で出会ったトンボは、「トラフトンボ」であるらしい。

図鑑によれば、平地の池沼に発生し、成虫期は4月中旬~7月上旬、特に5月上・中旬に個体数が多い、とのこと。

雨水の溜まった水たまりにアメンボ(ナミアメンボ)がいた。

大きいのと小さいのと2種類いるのかと思ったら、大きいほうは2尾が交尾しているものだった。


家の庭でも色々な昆虫を見ることができる。

イトトンボ2種。


これは、ネット検索によると多分「コフキヒメイトトンボ」の未熟の雌。

成熟するにつれて黒色部分がひろがり、頭胸部は白粉におおわれるそうで、平地の水田や止水に発生する。

 

こちらもネット検索によると、「アオモンイトトンボ」の未熟の雌。

雌は、はじめの地色は橙赤色で、成熟すると汚緑色になるそうで、平地の池沼に発生し、個体数は多い。


カメムシが2種。


こちらは、「クサギカメムシ」。

多食性で、クサギその他の低木にすみ、ダイズ、ササゲなどの豆類や、モモ・ミカンなど果樹を加害することがある、ということで、うちでは、レモンの新葉についていた。


こちらは、「ホシハラビロヘリカメムシ」。

マメ科の雑草にみられるが、クズにはきわめてふつう、とのことだが、うちではイチジクの葉っぱについていた。


カメムシの仲間はもう1種類。

これはイチジクや栗などあちこちで見かけるが、この形態からカメムシとは思ってなくて、甲虫の仲間だと思っていたので、図鑑をみててもなかなか該当するものが見つからなかったが、上記2種のカメムシを探していて、「マルカメムシ」と判明した。

成虫で越冬して、春に平地や低山のヤマフジ、クズなどに多く見られる、とのこと。


次もイチジク葉についていた「クロウリハムシ」

成虫は5~9月にあらわれ、ダイズ、瓜類、エノキ、シソの葉などを食べる。


イチジクの葉っぱは人気があるようで、多分「ルリクビボソハムシ」だと思う。


栗の葉っぱにはテントウムシ(ナミテントウ)がたくさんついていて、交尾しているものもいた。


芹には小さな芋虫がついている。

「キアゲハ」の幼虫らしい。
キアゲハの幼虫は、セリ科の植物が食草とのこと。

何週間か前から時々アゲハチョウを見ていたが、もう産卵もしていたんだなあ。


こうして昆虫をみていると、ハエトリグモの仲間もみつかる。

まずは、「マミクロハエトリ」

「ネコハエトリ」の雄。


「デーニッツハエトリ」の全体像をとらえることができた。


このところ野鳥は、常連しか見なかったが、散歩していて「カワラヒワ」見つける。

年中見られる鳥、ということでこれまで私が気が付かなかっただけらしい。

散歩コースの潮が引いて浅くなった水路で、30~40cmほどの「キビレ(キチヌ)」を5尾見つけた。

水路近くに住む、釣りのベテランから、ゴールデンウィーク時期にキビレがこの水路を上ってくる、と聞いていたが、こんなにまじかに見れるとは思わなかった。