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雨水 次候 霞始めて靆く(かすみはじめてたなびく)

春霞がたなびき、山野の情景に趣が加わるころ。

薄ぼんやりとたなびく霞と、目の前に深く立ち込める霧。

春には霞と言い、秋には霧と呼び分ける。
気象学では、視程1km以下のものが霧、それよりも薄いものが霞。
霧には、「たちのぼる」、霞には、「たなびく」を使う。

新暦ではおよそ2月24~28日ごろ。


2013年2月27日 記


2月23-27日(2013年)は、雨水の次候、「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」。

津島神社のHPをみていて、2月26日に午前10時から「烏呼神事(からすよびしんじ)」が行われることがでていたので、行ってみた。

日差しは暖かくなってきたが、気温は低く、空気は澄んでいて、電車が庄内川の鉄橋を渡るときには、遠くに雪をかぶった御嶽山も見え、まだまだ霞はたなびいていない。

40分ほどで神社に着き、巫女さんに、烏呼神事はありますか、と聞くと、二日前に終わりました、との返事。
ありゃぁ、と本殿を拝して帰る。

大きな銀杏の御神木があり、注連縄が巻いてあったが、丸に通った縄が反り返り、子孫繁栄・五穀豊穣を願っているようだ。


尾張の西部は木曽川があり、冬から春にかけて肥えて旨くなる鮒を使った「鮒味噌」という料理があって、津島駅の近くにそれを売る店があるので、帰りに寄って買ってきた。

 

ウキペディアによれば、

「主に愛知県尾張地方や岐阜県美濃地方で獲れるマブナ(ギンブナ)が使用される。最初にはらわたを取り出したフナを丸ごと白焼きし、その後、半日ほど水に浸して戻した大豆(一番良いのは目黒大豆だと云われる)を敷き詰めた鍋の中に並べ(そこに好みでゴボウなどの野菜が加えられることもある)、番茶の煮出し汁(フナの生臭さが気になる場合は、その煮汁に生姜も加えたほうが良い)で3~4時間煮た後、八丁味噌などの豆味噌に酒と砂糖(ざらめ)を加え、更に2~3時間ほど煮込んで出来上がる。煮上がったフナは骨まで柔らかくなっており、殊に子持ちの鮒(卵巣の発達した雌)は喜ばれる。鮒味噌は栄養価にも、保存にも優れた冬の味覚として知られている。それゆえご飯のおかずとして食べる他、以前は冬季の保存食として利用していた。」


千円と一回り小さな850円があり、私は18cmほどの千円のほうを買った。

鮒は、マブナ(ギンブナ)だそうで、ヘラブナではだめ、と店のおばさんが言っていた。

その夜は、芋焼酎のお湯割りでいただき翌朝は、炊き立てご飯のおかずにいただく。

甘い赤味噌の名古屋の味だ。


鮒は、「魚の歳時記1 春の魚」によると、

「寒中は頭を泥の中に突っ込んで潜んでいる。寒馴れという。寒鮒の名は一般的だが、江戸時代から明治にかけての俳書には出てこないから、やはり新しいものだ。肉が肥え、一番美味なときで、甘露煮の好材料だ。2月ごろになると動き出すので、鮒の巣立ちという。彼岸前後には鮒の巣離れと言って、集団的に動き出す。3月末から4月はじめにかけて、枝川の細い流れに、産卵のためぐんぐん乗り込んでくるので、これを乗込鮒(のっこみぶな)と言っている。」


私が買ってきたのは卵が少し入っていたので、まさに「巣立ちの鮒」であったようだ。


2021年2月28日 記

今年の雨水の次候は、2月23~27日(旧暦1月12~16日)

旧暦の1月15日は小正月、中国では「元宵節」を祝う。

私が暮らしていた浙江省の義烏やその周辺の村では、「要龍灯」といって、長い龍の神輿の節々に灯をともして練り歩く祭りがある。

2008年は2月22日が元宵節で、私の事務所のあった区域で、龍灯の行列が練り歩いた。


楽隊の雰囲気もよかったので、急遽、動画で記録したが、そのファイルは行方不明になってしまった。

お祝いのある家の門口にお供えがあり、それらの家々を龍灯が訪れてお祈りがなされる。

家につくと、ボワーとラッパが鳴り、来訪を告げ、その家を去るときもまた、ボワーとラッパが鳴る。

私は、チョワン・チョワンという鉦の音が好きで、この音を聞くとワクワクする。

私も2006年の元宵節で、この龍灯を少しだけ担がせてもらったことがあるがその時の写真ファイルもどこかへ消えてしまった。


今年は、23日から強い北西風が吹き、冷え込んだ。

25日は少し暖かくなり、家の庭では、「姫立金花(ヒメリュウキンカ)」が咲いた。


何年か前、近所の道端で咲いていたのを抜いてきて、家の庭に植えたもので、毎年春先になると咲き始める。

姫立金花は、ウェブ検索によると

「ヨーロッパの地中海沿岸から小アジアに分布。山地の林床や林縁に生え、高さは10~15cm。冷涼な気候と湿潤な日陰を好み、早春に芽をだして、黄色または白色の花を咲かせる。初夏には地上部が枯死して、休眠に入る。
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、学名は Ranunculus ficaria。英名は Lesser celandine。」


また、25日にスーパーマーケットのベイシアへ買い出しに出かけて、鮮魚コーナーに「ホタルイカ」が並んでいたので購入した。

富山県産で、まだ寒い時期にもう獲れるのか、とネット検索してみると

「ホタルイカほ主な生息地は、日本海を中心に太平洋側の一部にも分布しています。ホタルイカの主な産地としては新潟県沖から山陰沖にかけてで、雄と雌は11月から2月に交接を済ませ、産卵のために3月から6月に群れをなして富山湾へ押し寄せてきます。

ホタルイカの雄は、11月から2月に交接をすると、ほとんど死んでしまいます。交接をすませた雌は3月から6月にかけ、産卵期になると夕方から夜中にかけて浅瀬へ浮上し産卵をします。夜が明けると、潮の満ち引きによって海に戻れなった、たくさんのホタルイカが浜辺に打ち上げられています。これを「ホタルイカの身投げ」と呼び、富山では春の季節によく見られる光景です。

ホタルイカの漁をする季節は、産卵期にあたる春から初夏にかけてです。富山県の場合、産卵のために富山湾内に入ってきたホタルイカを定置網で漁獲します。3月になるとホタルイカ漁が解禁され、一斉にホタルイカの定置網漁がはじまります。

ホタルイカの定置網漁が行われているのは富山県だけです。そのほかは、底引き網漁で漁獲されます。底引き網漁は、袋状の網を海に入れ船で引っ張り、網で魚を取る魚で、ズワイガニ、甘えび、アカガレイなどのほか、ホタルイカもたくさん漁獲されます。

ホタルイカといえば富山県の名産ですが、実は漁獲量一位は兵庫県です。兵庫県のホタルイカ漁は、底引き網で漁をするため、一度に多くのホタルイカを漁獲することができます。

ホタルイカは一般的な食べ方は、丸ごと茹であげる釜あげでいただきます。ワタに含まれる丁度よい甘みと塩加減が抜群で、とても美味しい食材です。富山では、旬の時期の産卵期には丸々と太った雌のホタルイカの刺身が楽しめ、新鮮で歯応えのよい甘味のあるホタルイカを、生姜醤油でいただきます。

ホタルイカは、獲れたてを食べることができません。ホタルイカには、旋尾線虫という寄生虫がいるものが多く、獲れたてを生で食べるとアニサキス症に似た症状を起こす危険があるためです。ですので、浜辺に打ち上げられたホタルイカを生で食べるのは大変危険です。

富山のお店などで出されるホタルイカの刺身は、冷凍して一定時間おいて旋尾線虫を死滅させたものが提供されています。旋尾線虫は、-30℃の低温で4日以上、または-40℃で40分以上の冷凍すると死滅するので、その処理を済ませた安全なホタルイカをいただくことができます。また、獲れたての場合は、内臓を取り除いて胴と足だけを刺身にしたものが提供されています。」



浜辺に打ち上げられた様を「ホタルイカの身投げ」と呼ぶとは知らなかった。

購入したものは、「富山県産」の表示があったので、定置網の解禁前だから底引き網で漁獲されたものだろう。

普通は生姜醤油で食べるらしいが、私はワサビ醤油でおいしくいただいた。

以前、魚を扱っている友人から、ボイルしたホタルイカを沢山貰ったことがあって、その時は、かき揚げにしてもおいしかった。


「飲食辞典」には、昔は、出漁者がとりたての新鮮なものを試食する程度で他地方への販路はなく、せいぜい他の魚介類に対するツリエかマキエの利用するほか大部分は肥料にまわされたというが、その後加工製品の工夫と特産の名がいきわたって経済的にも重要な水産物なると・・・・・・以前は泥まみれのモンペ姿であった小娘が、地元ではいま「竜宮の使者」だともてはやされている、との解説がある。


26日はまとまった雨があり、27日は晴れで風もおさまり暖かい。

散歩に出るとタンポポなど色々な野草が花を咲かせている。

庭の南高梅は、ほぼ満開、サクランボ・紅桃の蕾も膨らんできた。


2024年3月2日 記

今年の雨水の次候は、2月24~28日。

25日に雨が降ったが、あとはおおむね晴れ。

しかし強い北西風が吹き寒い。

28日にひまわりファームと舞阪の魚屋へ買い出しに行く。

ひまわりファームでは色々な野菜が並んでいて、すべて100円前後。

今回の初見は、「スナップエンドウ」と「春キャベツ」。


スナップエンドウは電子レンジでチンしてマヨネーズで。

春キャベツは毎年楽しみにしていて、柔らかく甘みもあるので、ベーコンとオリーブオイルで炒めてスパゲッティにからめていただいている。


舞阪の魚屋では、前回見た浜名湖産の「ハマグリ」がまたあったので購入。

全重47g(殻重25g)、殻幅6cm、殻高5cm。 14個、650gで1500円。


3月3日のひな祭りにはハマグリがつきものだが、何故だろうとネット検索したところ以下のような回答が得られた。

「ハマグリの貝殻は一対になっていて、決してほかの貝と合うことはありません。必ずぴったりと合うため、平安時代には「貝合わせ」遊びにも用いられたほど。このことから、生涯一人の人と添い遂げるようにという願いが込められているのです。」

しかし、二枚貝にも色々あって、他の類の貝の殻はどうなんだろうと疑問がわいたが、アサリじゃあ小さすぎるのかな?

浜名湖では、ここ数年アサリが獲れなくて、2・3年前からハマグリが獲れるようになって、漁獲に制限があるようだが、春のころ魚屋に並ぶようになった。

ハマグリの旬は春で、網焼きにして美味。

海水の塩分が効いて、何もつけなくても美味しい。

他の貝とは違った、こういうのを上品な美味しさと言うんだな。


定番のお吸い物にもしてみた。

味付けは、顆粒の昆布だしだけで味わう。

水分が多い分、貝の味がお汁に逃げて、貝の身を味わうには網焼きのほうに軍配があがった。


この日はまたマイワシも並んでいたので購入。

1尾、86g、21cm。 7尾で500円。


前回より小型になり、脂ののりも少なくなったが、刺身で旨い。

脂がのりすぎているよりも、このくらいのほうが私は好きだ。


内臓の白子も大きくなってきたので、煮付けにして旨い。

 

前回、酢漬けにしたものが旨かったので、今回は刺身は1尾だけにして、残りの6尾分は酢漬けにして後々の楽しみにとっておいた。