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立春 末候 魚氷に上がる(うおこおりにあがる)
暖かくなって湖の氷が割れ、魚が跳ね上がるころ。

立春になり暦の上では春だが、2月はまだ寒く、その寒さを「春寒」または「余寒」と呼び、もう春だが、この寒さは冬のなごりなのだと、暖かな春の到来を心待ちにする。

新暦では、2月14~18日ごろ。



2013年2月16日記(名古屋の実家にて)

2月13-17日は、立春の末候、「魚氷上(うおこおりにあがる)」。

暖かくなって湖の氷が割れ、魚が跳ね上がるころ、ということだそうだが、まだまだ寒い。

でも今朝は、うちの庭の水溜めにはる氷も薄くなり、指の甲でコンとたたくだけで割れた。

春告鳥のウグイスは姿を見せないが、メジロがうちの庭のキウイの実をついばみにやってくる。

キウイは1年おきにたくさんなって、間引きをしないのであまりにちいさいものは採らずに残しておいたら、メジロやスズメやヒヨドリなどがやってきてきれいに食べてくれた。


春告鳥はウグイスだが、鯡(にしん)の別名が「春告魚(はるつげうお)」だそうで、この時期が旬。

2週間ほど前に築地の場外のような名古屋駅前の納屋橋市場へ行ったとき、私がいつも自転車を置くところの前にある店のおじいさんが、ニシン、ニシン、と声をあげているのでのぞいてみると、30cmあまりの大きな生ニシンがあった。

銀色が鮮やかでうまそうなので、1尾300円で、3尾買って帰り、1尾は塩焼きで朝飯に、残りの2尾は身をとって、アラとおなかの白子は味噌汁に、身は一口大に切り分け、オニオンスライスといっしょに甘酢につけてマリネにした。

確かにうまい。

「飲食事典」によれば、

「ふだんは遠海の深所に住んで、近海へはめったに姿を現さないのが、春三月から四月へかけて北海の氷もようやく解けそめ、水温六度内外になると産卵すべき浅所にあこがれて、陸地近くの海藻が繁茂し食餌の豊富なところをもとめて、天気晴朗の日をえらび猛烈な勢いで盛り上がるように群来する。」

ということで、まさに一番うまい時期のハシリのニシンを味わうことができた。

後日、またニシンを食べたくて探したが、生ニシンがあったのはあの日だけだ。


2021年2月18日

今年の立春の次候は、2月13~17日(旧暦1月2~6日)。

13日はいい天気で暖かい。

家のTVのアンテナに「トンビ」がとまってピーヒョロロと鳴いていた。


空を見上げると、いつも1・2羽のトンビは見かけるが、この日は、10羽以上のトンビが輪を描いていた。

こんなにトンビが家の近くで見られるのは久しぶりで、この後はまた、どこへ行ってしまったのか、トンビの姿は見られなくなった。


トビは、尾羽が台形状で、他のワシタカ類は扇状なので、簡単に見分けがつく。


小梅の花は八分咲きになり、暖かいせいか蜂がせっせと花を訪れている。
この数年実が成らなかったが、今年は受粉して実を付けるかもしれない。


15日は、強いまとまった雨があり、16・17日は北西風が強く冷え込んだ。

16日朝に、鵜のおそらく数百羽はいるだろう大群が南から北へ、家の上空を飛んで行った。
あれだけの鵜を養うだけの魚がいるんだなあ。。。

この日は北西風も強く寒かったが散歩にでかけると、家のある埋め立て地と本来の陸地の間にある水路に、風が当たらないせいか、白鷺や鵜が沢山休んでいて、私が近づくといっせいに飛び立っていった。

しかし、「オオバン」や鴨の類は、逃げない。


鴨は、「オオヨシガモ」と「ヒドリガモ」の二種類がいた。

 

「カンムリカイツブリ」が盛んに漁をしていた。

「魚氷に上る」、ということで、魚の動きがよくなって、鳥たちの漁も活発になってきたのかな。

 

鵜の群れも休んでいる。
この鵜は、「カワウ」だろう。


私がカメラを向けると、一羽また一羽と飛び立っていった。


浜名湖に沿った道にでると、北西風が吹き付け、ウサギが跳ぶ波が立っているが、大型の見慣れない鳥が羽ばたいて沖のほうへ飛んで行って、潜水して魚を取っているようであった。

遠くで姿はよくわからなかったが、念のため写真にとっておいたら、「カワアイサ」と判明した。


私の愛用している日本野鳥の会監修「水辺の鳥」によると、「広い湖沼に群れをつくってすむ」ということだが、この日は一羽単独で行動していた。

この日の散歩は、思いもかけず、いろいろな鳥に出会えて、楽しかった。


2024年2月21日 記

今年の立春の末候は、2月14~18日。

16日に北西風が強く冷え込んだが、他の日は曇り日だが暖かい。

庭の南高梅の花が昨年より1週間ほど早く14日に、姫立金花は2週間ほど早く18日に咲いた。

14日、またひまわりファームと舞阪の魚屋へ買い出しに行く。


ひまわりファームの野菜類では、お正月に沖縄の友人が送ってくれた「ジーマミー豆腐」が旨かったので作ってみようと今回地元産の落花生を仕入れた。

1袋160g。380円。


材料は、落花生と、固めるための葛粉だけなので、スーパーのベイシアで吉野葛を見つけたので購入して作ってみた。

落花生を一晩水に漬けて、翌日皮を剥くのが大変で、皮剥きに1時間以上かかり、水とともにミキサーで潰して絞り汁をとり、それをゆっくり温めながら葛で固める。

全行程1時間半で、結構楽しめた。

出来上がりは、甘い蜜を作るが面倒なので、山葵醤油でいただく。

ほんのりとした落花生の味を楽しめる。

 

搾りかすは勿体ないので、ピーナッツクリームでも作ろうと、水と砂糖を加えて煮詰めてみたが、期待のように落花生の粒が崩れないままで、再度すり鉢で擦ってみても粒が潰れず、しょうがないから片栗粉を入れて固めてみた。

これが和菓子のようになり、まずまず。


舞阪の魚屋では、魚種が少なく、見慣れない魚があったので、これは何かと聞いてみると、「イサキ」とのことで、購入。

1尾の全長28cm。体重270g。2尾で1060円。


「おいしい魚図鑑」によると、

「初夏を感じさせる季節のお知らせ役の代表格である。6,7月ごろ、味がぐんとよくなって、タイやスズキと十分に立ち向かうほどの人気者になる。」

とのことだが、「ぼうずコンニャク」さんによれば、

「古くは夏の魚の代表的なものであったが、今では年間を通して入荷する。近年季節による入荷量の変化があまり感じられない。浅場にいる磯魚の代表的なものだが、磯魚特有の臭味が少なく、万人向けのおいしさがある。関東では古くから塩焼き用の魚と考えられてきた。これが流通の発達から刺身など生食されるようになっている。」

とのことで、今回購入したものも初春とはいえ、脂がのって超美味であった。

刺身は、皮下の脂がキラキラと美しい。


アラと内臓は例によって味噌汁に。

脂がのっているので、これまた旨味たっぷりで美味しい。

 

2尾を三枚におろして、4枚。

3枚は刺身でいただいたが、1枚は塩焼きにしてみた。

塩焼きもまずまずだが、旨さは刺身に軍配が上がった。