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月の花祭り

20181111日に東栄町御園地区の花祭りを見入ったとき、そこで雑談した花祭り見物の常連のカメラマンから、「月の鬼が焚火の火を盛大にかき上げて面白いよ」と教えてくれて、月地区では1121日~22日に行われるとのことで、見に行った。

行事次第は、花祭りのHPにあり、舞開始は、18時ということで15時ごろ会場に到着。

舞庭(まいと)の中央に前回見た御園とは違って、土塗りの竈がしつらえてあり、天井に下がる「湯蓋」や「一力花」「添花」などもも華やかでたくさん下がっている。

舞庭を囲む縄には8種類の「ざぜち」がついている。

舞庭お横の座敷にある神棚に、「滝ばらい」で汲まれてきた「御滝の水」が供えられている。

舞庭をはさんで座敷の向かいに太鼓や笛の衆の座る神座(かんざ)があり、そこにも神棚があって、鏡餅などが供えられている。

会場についてちょっとしてから、舞庭の横にある座敷で、儀式が始まり、これが「神入れ」と思われた。

その「神入れ」に先立って、「うちきよめ」、「滝ばらい」、「高嶺祭り」、「辻固め」の神事がある。

「花祭り」を見に行ってから、アマゾンで須藤功著「花祭りのむら」という古本をみつけ、ちょうど「月地区」の花祭りについての内容が豊富なのでそれを参考にして進める。

 

神棚の前での祈祷や釡ばらいなどを行う、この祭りの一切を執り行う人は「花大夫」と呼ばれ、その補佐役は「みょうど」と呼ばれるそうだ。

 

「神入れ」は、花大夫が床の間の前に正座して、印を結び、祭文を唱え、祓い幣を振りながら神様や神社、そして仏様の名を読みあげる。それは、火の神、庚申、閻魔法王などに始まって、東から中央までの五方位の神々、月地区にある熊野神社、大村千代姫神社、さらに全国各地の神社、神様そして再び奥三河の神社と神々にもどり、読みあげる数は225社に及ぶ。

 

「神入れ」が終わると、大幣を持つ花大夫を先頭に迎える神様を讃える歌楽(うたぐら)を唱和しながら神座(かんざ)へ渡り、幣と祭具を神座の決まった場所に並べる(棚飾り)。

つぎに「 切目(きるめ)の王子」。

 

「切目の王子」は、和歌山県にあった切目の荘の切目王子社の祭神で、熊野神社の末社。京都からの熊野詣の道筋にいくつもの「王子社」があり、切目の荘の王子社はその第一として大勢の人が参拝した。

 

花大夫が太鼓を叩きながら祭文を唱え、「神入れ」と同じように神仏や神社の名を読みあげ、区切りごとに一同が「一社ももらさずおりいで花の切目の王子・・・」と唱えて、その度に「みょうど」が紙縒りに神酒を浸し、自分の体に振りかけて神様の霊力を身に受ける。

 

そして、「しめおろし」と続いて、祓い幣を手にした花大夫とみょうどが、神座に立って、「注連おろし、おろすさとさに千早振る、ちはふる神のまえとなるらん・・・」と五方で三回ずつ唱える。

そして、「釡祓い」。

花大夫が竈の焚き口に向かって、まず水の印を結び、火打石で火種に火をつけ、竈の薪に火を移すと花大夫は「水天明王」と三回唱える。

「湯立て」は、花大夫が、湯気の立つ釡の上で印を結び、笹竹を湯に浸し、五方に振りかけ、舞庭を清める。

手違いで、ビデオの時間データが消えてしまったので、はっきりと覚えていないが、このあたりですでに21時になっていたと思う。

 

「ばちの舞」でまずは笛の囃子だけで舞い、太鼓を叩く「桴(ばち)」を清める。そして、「一の舞」、「御神楽」と続く。

 

「地固めの舞」。

「扇の手」「やちの手」「つるぎの手」と舞手が手に持つものを変えて三折、それぞれ1時間近く舞う。

私は、始めの「扇の手」の途中まで見て、車に戻りひと眠りして、舞処に戻ると「花の舞」の真っ盛りであった。

この間に「榊鬼の庭入り」があったらしいが、見逃してしまった。


花の舞も「扇の手」「盆の手」「湯桶(ゆとう)の手」の三折があり、延々と続くので、また車に戻ってひと眠りして戻ると、「山見鬼」の最後のほうで、なんとか焚火を掻き揚げるところには間に合った。

次に「三つ舞」となり、また「扇の手」「やちの手」「つるぎの手」の三折あるので、またまた車に戻って一休み。

舞処にもどると、「つるぎの手」で、「榊鬼」に間に合った。

ここの榊鬼は、途中で榊の小枝を手にした「もどき」という役のみょうどと問答する場面がある。

そして大地に潜むあらゆる悪霊を鎮めるために大地を踏み下ろし「反閇(へんべ)」を踏む。

 

最後に外へ出て焚火の火を掻き揚げるが、すでに夜も明けて明るい中なので、火の舞うさまはいまいち迫力に欠けていた。

そして、「ひのねぎ」「おつるひゃる」「みこ」と進むが御園のときのような混沌とした風にはならないで、整然と進んでいく。

 

次に「四つ舞」が、また「扇の手」「やちの手」「つるぎの手」の三折あり、子供たちが次々に舞う「願主(がんぬし)の舞」が延々と続くのでので、またまた車に戻って今度は一仕事。

そろそろ願主の舞が終るころかなあと舞処にもどったが、まだ3組ほど舞があって、やっと「おきな」になる。

そして「茂吉鬼」。この鬼は、大きな木槌を持って登場して、途中、竈の上に下がった「湯蓋」の中の「蜂の巣」という色紙の紙片の入った包を破る。

 

この鬼も焚火を掻き揚げるが、伴鬼が頑張って盛大に掻き揚げて盛り上がった。

そして「湯ばやし」。

今回も上着はカッパを着て、しっかり湯をかけてもらい、無病息災。

舞の最後は「獅子」。先導役が身軽に動き回り、湯ばやしで舞処はどろどろになっているので、先導役も、獅子も足をとられて泥んこになって盛り上がった。

このあと神事があるが、私はここまでで帰路に就いた。