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良渚博物院
2008年10月12日、かねてから行きたかった良渚博物院へ行って来た。

良渚(りゃんつ)は、紀元前3000~1700年に栄えた良渚文化の遺跡があり、杭州の北西25kmほどに位置する。

杭州からは、市中心部の武林公園から甑窯鎮行きのバスで3RMBで良渚まで、バスを降りてすぐバイクタクシーが待っているので、それに乗って5RMB。

前年の11月に、この遺跡で城壁跡が発見されて、中国最古の城壁で囲まれた都市国家であることが確認されたこともあり、もともと街の中心地に博物館があったが、この発見があって、新たに大きな博物館が建てられ、この10月にオープンしたばかりで、運良く、この新しい博物館を見ることができた。


巨大な博物館だが、入場無料で、オープンしたばかりということもあってか、たくさんの人でにぎわっていた。

 
 

目玉は、城壁で、切り取られてきた2*3mの実物が展示されていた。

 

この遺跡のシンボルになっている竜にまたがった貴族(?)の像があるんだが、それは玉製の斧に刻まれた小さな像であった。

 

その姿は、空中バイクにまたがる宇宙人のようでもある。

こういうのを見ると、学生時代に読んだ、エーリッヒ・フォン・デニケンの「星への帰還」という、宇宙人が地球に文明を伝えた、というのを思い出す。


ビデオ展示で、神殿跡の基台が、冬至や夏至、春・秋分の日に太陽が出る方向と関連付けられていて、太陽神との関連が示されていて興味深い。

博物館の展示は3つの大きな部屋に分かれていて、遺跡発見研究の歴史、「良渚古国」の生活の再現展示、良渚文明の特徴を現す玉器の精品の展示がある。

展示室にはいるとすぐ、大きな石製の鋤が目に入る。


また、玉製の儀式に使われるという琮(こん)があり、角々に良渚文化のシンボルの宇宙人のような顔が彫られている。


私は、焼き物がすきなので、素焼きの土器を見て回る。

 


良渚文化は、黒陶が主で、三本足の酒器の類がけっこうモダンなデザインで気に入った。

 

こうした三本足のデザインは、殷の時代の青銅製のものに引き継がれていくんだが、動物の形のものも4本足ではなく、あえて3本足にしているのは、3本足のほうが安定するのだろうか?


碗が2つ上下にくっついた素焼きの濾過器があったが、醗酵した米をいれて、酒でも濾していたんだろうか?


中国の一万年前から良渚文化の5000年前までの古代文化の変遷がパネル表示されていて、1万年前から中国全土にわたって遺跡が発見されていることがビジュアルに理解できる。

良渚文化は古いとはいえ、黄河流域の中原に起こった仰韶(やんしゃお)文化の影響をうけていることがわかる。

そして各地方に有力部族による国が形成されていって、それが中原の夏王朝に統一されていったと考えられている。

良渚国は苗族の祖先らしく、その王「蚩憂(ちよぅ)」は中原の黄帝と戦って破れ南へ下ったとか。


良渚人の顔の想像図があったが、日本人にもよくある顔立ちだ。


私は初めて浙江省へきたとき、何か郷愁のようなものを感じたが、私の中には遥か彼方の浙江人の遺伝子が入っているかもしれない。