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小寒 次候 水泉動く(すいせんうごく)
小寒の次候は、「水泉動く」。

地中で凍っていた泉が動き始めるころ。

新暦ではおよそ1月10~14日ごろ。

中国の七十二候ででは、「鵲始巣」。カササギが巣作りをはじめるころ。

カササギは、日本でも冬が巣作りの時期だそうだ。

2021年1月14日 記

今年の小寒の次候は、1月10~14日(旧暦11月27日~12月2日)。

1月8日から大寒波襲来で、10日まで池には厚く氷が張っていたが、11日に寒さが和らぎ、池の氷も薄くなって、簡単にわれるほどになった。

12日は久々の雨。

寒に入って、9日目に雨が降ると、「寒九(かんく)の雨」といって、豊作の吉兆とされているそうで、12日は、「寒八の雨」、今年は、ほぼ豊作が見込まれるようだ。

13,14日は、ポカポカと暖かい。


毎年、家の前の池にはカルガモがやってくるが、この数日やってくる数羽の鴨は、カルガモよりひとまわり小さいように見えるので、なんだろうと、双眼鏡で見てみると、カルガモではなく、「コガモ」であった。

コガモは、主に冬鳥として渡来するそうだ。


2024年1月18日 記

今年の小寒の次候は、1月11~15日。

11日から冷え込んで、14日早朝にはー1℃まで冷え込んだ。

12日、また舞阪の魚屋へ買い出しに行く。

入ってすぐのところに、パック入りの真鰯と大きなアカカマスが並んでいたので、両方とも刺身で美味そう、と購入する。

アカカマスは、全長35cm、264g。2尾で700円。


カマスというと夏のイメージで、「ぼうずコンニャク」さんによれば、カマスの種類は多い。

クック編集部編「おいしい魚図鑑」によると、

「ヤマトカマス、アカカマス、アオカマスと分けられるが、どれも食べる時は区別しないで扱われる。もっとも、夏のうちはアオ、秋から冬にかけてはアカと食べごろを分ける人もいる。」

今回購入したものは、刺身で食べたが、適度に脂がのって、超美味。

三枚におろした片身を1回分にしたので、コストパフォーマンスはすばらしい。


アラは、例によって味噌汁にしたが、これも脂がのっているので旨い。

葉っぱ付きの蕪が残っていたので、その菜っ葉で菜飯を炊いて、一緒にいただき、満足。


マイワシは、全長22cm、体重110g。5尾で500円。


冬のマイワシは、皮下脂肪が物凄くのっている。

刺身で食べると、トロだな。


2尾を刺身にして、残りの3尾は煮付けにした。

脂がのっているので、生姜と一緒に食べないとクドイほどだ。


高橋治著「青魚下魚安魚讃歌」に、冬の真鰯の旨さが賞賛されている。

「冬、真鰯の旬である。ためしに鯛と真鰯の刺身を食べ較べてご覧になるとよい。眼を閉じて。全神経を舌先に集めて。口の中にひろがる脂のこくが違うことに気づかれるだろう。鯛は無難な味だが、真鰯には一種の魔力がある。」

今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で話題の「紫式部」が鰯が大好物だったそうで、ちょうど今私が読んでいる、石黒正吉著「魚貝譜」にその逸話がのっていた。

「また、紫式部の話も有名である。かくれて食べるのを、夫の宣孝が見咎めて「むげに賎しきものを食べ給うかな」の小言に、

日の本に はやらせ給う石清水 まいらぬ人はあらじと思う

石清水(イワシみず)八幡宮と、イワシをかけて和歌をよんで以来、夫婦そろって鰯を賞味したといわれる。平安京(京都)で食べることのできたこの鰯は、前記の日本海を北上してくる脂肪ののった鰯の一塩もので、若狭湾(2~3月の漁)あたりの漁のものだろう。

しかし、昔も今も、下魚のイメージが強く、

まいらぬは なしと 鰯のへらず口

と、式部の和歌を冷笑した川柳もでてくるしまつである。」


なにはともあれ。冬の真鰯は、旨い。